「traveling」宇多田ヒカル 2001年11月28日リリース
休業中の宇多田ヒカルにエールを贈るように椎名林檎がカバー!
2014年の5月、横浜大さん橋ホールで行われていた、椎名林檎さんのコンサート、MCで、椎名林檎さんは、こう切り出しました。
「最近、私が嬉しかったことは、ヒカルちゃんの御結婚です。“EMIガールズ”の相方、宇多田ヒカル嬢が結婚しました。このやり場のない胸の高鳴りを、今ここで共有させていただけませんか?」と会場に語りかけると、宇多田ヒカルさんの「Traveling」を歌ったのです。
椎名林檎さんのファン達が、この事をツイッターで宇多田ヒカルさんに報告。すると、彼女はツイッターで、「お〜!なんて素敵なことをしてくれるんだ!林檎ちゃんにはご祝儀まで頂いちゃって…ありがたや。」と、つぶやきました。
宇多田ヒカルさんと、椎名林檎さんは、所属レコード会社、東芝EMIの同期。
1999年の「東芝EMI」の新人お披露目イベントに、「私たち、東芝EMIガールズでーす!」と、2人揃って登場すると、カーペンターズの「I Won’t Last A Day Without You」を、ピアノだけの演奏で、2人で歌い上げました。以来、仲が良く、何かある度に、互いにエールを送り合っていた2人。宇多田ヒカルさんが、アーティスト活動を休み、人間活動に専念している間も、「ヒカルちゃんと、ライブがしたい」と、何度も発信してきました。そして、結婚の報告を聞いて送ったメッセージが、「元気が出る曲」というコンセプトで、宇多田ヒカルさんが作った「Travelling」をカバーする事でした。
それに対し、宇多田さんは「東芝EMIガールズ、いつか再結成したいです!」と、音楽活動の再開を匂わせるような、ツイートをしました。
このtravelingを作った頃は、「驕れる人も久しからず、唯春の夜の夢の如し。猛き者もつひには滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ。」という平家物語から「春の夜の夢のごとし」と「風の前の塵に同じ」からの引用で、世のすべてのものは、移り変わり、また生まれては消滅する運命を繰り返し、永遠に変わらないという諸行無常が歌われています。
宇多田ヒカルさんは、音楽ばかりやってきた流れをいったん止めたい。音楽以外のことをして成長したいという気持ちから『人間活動』というアーティストの活動休止宣言をしてました。5年間にわたる休業期間。この間に色々な物から少しずつ解き放たれていきます。徐々に音楽に向き合うエネルギーが生まれて来たのでしょう。
この年1月には、こんなツイートを。「正月から熱心に作曲中」宇多田ヒカルさんの休業中、椎名林檎さんが送り続けたエール。もしかしたら、それが宇多田ヒカルさんの心を、動かしたのかもしれません。
【カバー】