「月光」鬼束ちひろ 2000年8月9日リリース
歌詞に心の中を吐き出してデトックス!だから必ず先に歌詞を作る!
鬼束ちひろさんの書く歌詞には、神、腐敗、犠牲、静寂など、ズシッとくる重い言葉が並びます。
これは、学校嫌いな少女が、自分を解放させるために、心のうちを、ノートにしたためて来た事が、そのルーツでした。
高校時代、成績は悪くはなかったものの、学校になじめずにいました。いろんな人がいるのに、同じことを教え、同じでいる事を強要される。皆と同じはイヤ。でも自分が何をやりたいのかは、わからないという心のモヤモヤを抱えていました。そんな時に出会った、アメリカの女性アーティスト「ジュエル」の唄が、彼女の運命を決定づけました。
ギター1本で、こんなに伝えられるんだと、感動。しかも、その唄が、彼女が17歳の時に作ったと知り、当時、高校2年生だった鬼束ちひろさんは、作詞をはじめる事に。
学校のこと、恋愛で傷ついたこと、自分の存在価値、自分が心に抱えている事を、文字にしていきました。作詞が、心の中を吐き出す、デトックスのよう役割をして行ったのです。
高校の文化祭の劇で、いじめられて死ぬ役を演じました。そこから死をテーマにした歌の世界が広がり、言葉が自然に浮かんできました。その時の曲「Call」が、オーディションで認められて、デビューする事に。
デビューが決まっても、彼女の心の中は、晴れませんでした。デビュー曲『シャイン』は、学校での閉塞感を、「牢屋のイメージで作った」という楽曲でした。
そして、2枚目のシングル「月光」。高校を卒業し、念願のデビューを果たすも「自分の居場所は無い」と、心のうちを吐き出した曲。しかし、綺麗なうわべの言葉を並べた歌詞とは違い、心の中からの重い言葉が、人々に突き刺ささり、共感を呼び、60万枚を売り上げるヒットとなったのでした。
鬼束さんの曲作りは、自分の心の中を正直にさらけ出したいという思いからかならず、歌詞を先に作り、そこへ曲を乗せるのだそうです。月光の時も、歌詞が完成してから「重すぎるかな?」と思ったそうですが、自分に正直に…という事で、手直しする事は無かったそうです。
【カバー】