「シェリー 」 尾崎豊 1985年3月21日リリースのアルバム「回帰線」から。
オレは若者の代弁者なんかじゃないと弱い面をみせた!
尾崎豊4枚目のシングル「卒業」がヒット。ところがそれと同時に、この言葉が一人歩きしてしまいます。
「夜の校舎、窓ガラス、壊してまわった〜」
その過激な歌詞から、反逆のカリスマと呼ばれ、大人に不満を持つ同世代からの、圧倒的な支持を受ける事となります。実際に、学級崩壊、校内暴力で、学校が荒れている時期で、歌のマネをして、学校のガラスを壊してまわる不良も出現し、社会問題に発展。
尾崎は、若者の圧倒的な支持を受けたながら、「反逆する十代の旗手」というイメージのギャップに悩んでいました。そう呼ばれる事を、非常に嫌がっていました。でも、自分の影響を受けて、窓ガラスを割った若者達。そういう風にしか、自分の思いを表現できない人たちに対しては、責任も感じているとも、語っています。
この頃、彼は、プロデューサーに対し、何度もこんな事を話し、自分自身を確認しようとします。
「ティーンエイジャーの、ドロップアウトしていく人の代弁者、その代表みたいに言われるけど、僕はそうじゃないよね?」
彼は、そういう人をあおるために、曲を作っている訳じゃない。自分はこういう気持ちだということを、歌詞の中で表現しているだけなのに、あたかも十代の代弁者であるかのように、祭り上げられそういう曲を求められる事に、違和感を感じていました。
自分の気持ちをストレートに出したい。それが尾崎豊のポリシー。シングル「卒業」から2が月後にリリースされたアルバム、「回帰線」には、それまでの尾崎豊のイメージとは全く違う曲が、収録されていました。それが、シェリーという曲。
自らの弱い心を吐き出した曲。これまでの歌と違い、大人や社会という、敵も出てきません。
「夢のために生きてきた、俺だけどお前の言うとおり、金か夢かわからない暮らしさ。シェリー、俺はうまく歌えているか?」
自分はコレでいいのか?自分は、間違ったことやってるんじゃないか?ただ、ただ、自問自答していきます。
自分の気持ちを正直に歌ってきた、尾崎豊。過激な歌詞ばかりが注目されてきましたが、全てをさらけ出した、この弱さも、尾崎豊の正直な気持ちです。そんなシェリーは、尾崎豊のツアーの全てのライブで歌われた、一曲です。
【カバー】