「道標」福山雅治 2009年5月20日リリース
お婆ちゃんの生き様を振り返り、そこからつながれた命のリレーを歌った
福山雅治さんの「道標」はシングル「化身」のカップリング曲で、表題作ではありません。にもかかわらず、ファンの心に染みる代表曲となっています。
報道番組「NEWS ZERO」から「命」をテーマにした曲を書いて欲しいという依頼があり、書き下ろした楽曲です。福山さんは、テロ事件や殺人事件など、命の尊さが損なわれていると感じていました。しかし曲を作るときに、戦争やテロを直接歌っても、平和な日本にいる人達にとってはリアリティがありません。そこで身近な人へのふれ合いや思いから、命をテーマにか書けないかと考えたのです。
曲作りの時に思い浮かんだのが祖母の顔でした。早くに夫を亡くしたにもかかわず、みかん農家を守り、福山さんの母親を育て上げました。そして孫である福山さんは、そんなお婆ちゃんの元をたびたび訪れ、農業の仕事を手伝いました。自分の性格もお婆ちゃんに似ていると感じた事を思いだし、お婆ちゃんからの命のリレーをテーマに曲を書くことにしたのです。
福山さんのお婆ちゃんは、強い人でした。腰を痛めたと聞き「ゆっくり休んで」と伝えたら、「畑が呼んでいる」と休まなかったそうです。ちょうどその頃、福山さんは多忙を極めていて、肉体的にも精神的にも疲れている時期でした。なのに、お婆ちゃんは、1人で農業に向き合い生きている。その強さに憧れ、逞しく生きるお婆ちゃんの生き様を回想しながら曲を作っていきました。
一番のサビは、
「愛に出逢い、愛を信じ、愛にやぶれて、愛を憎み、愛で赦し、また愛を知る」
二番のサビは、愛を人に入れ替えて
「人に出会い、人を信じ、人にやぶれて、人を憎み、人で赦し、また人を知る」
愛であふれているという、お婆ちゃんという人の生き様が、端的に表現されています。
2021年末「第72回NHK紅白歌合戦」に出演した福山雅治さんがこの曲を歌った事で再び注目が集まり、ストリングスと大編成のコーラスを加えた新アレンジで「道標 2022」が配信リリースされました。
配信リリース日に選んだ2月6日は福山さんが53歳となる誕生日。17歳の時に亡くした父の享年に自分が追いついた日でした。
【カバー】