「エイリアンズ」キリンジ 2000年10月12日リリース
西武線のつまらない町並みをロマンチックに描事をテーマに作った曲
テレビ朝日の音楽番組「関ジャム 完全燃SHOW」で、名曲として度々登場するのがキリンジの「エイリアンズ」です。「プロが選んだ最強のJ-POPベスト30」で16位、「令和に活躍する若手アーティストが選ぶ平成最強ソングベスト30」では2位にランクインされました
多くのプロが絶賛するのが、歌詞の世界観。そこにはいくつもの仕掛けがありました。日本語を際立たせるように、日本語のアクセントに合わせてメロディーがつけられているので、不自然さの引っかかりが無く、すーっと耳にしみこんできます。
もう一つは、冨田ラボさんが、ミックスの時にドラムの音を大きくする事を提案した事。スネアのリムショットを普段より大きくして、やわらかい歌なんだけどビートがちょっとカタいので、それに対し言葉が強いところは、負けずに浮き出すという感じにしました。
そして一番は歌詞の世界観。キリンジが育った西武線沿線の街にあるような、区画整理された似たような町並みは、地方都市の象徴で、そんなどこにでもあるつまらない街をどう切り取ったら、ロマンチックになるかという試みで、この曲はかかれています。
ユーミンの「海を見ていた午後」では、横浜の根岸の高台にあるレストラン「ドルフィン」からみた風景を「ソーダ水の中を、貨物船が通る。小さな泡も恋のように消えていった」と歌っていますが、エイリアンズでは「遙か空に旅客機(ボーイング)音もなく公団の屋根の上、どこへ行く」と、よくある団地の風景をドラマチックに描いています。
キリンジの「グッデイ・グッバイ」のPVでは、西武池袋線の「江古田」にあった喫茶店「プアハウス」が舞台となっているのですが、日常の風景の中で失恋をいかにドラマチックにするのかがテーマだった事がわかります。
そして、どこか世間とは違い浮いていたエイリアンが、同じく浮いていたダーリンと一緒にいる事でエイリアンズという複数形になり、2人だけの幸せな時間を感じる。
この曲がリリースされたのは2000年ですが、2017年に「のん」が出演する「SNS使い放題」がキャッチコピーのLINEモバイルCMソングとなった時に
今の時代のムードと不思議とリンクしたところもあったのかな。あの曲が持ってる世界観というか、みんなつながってるようだけど、そのつながりが濃いのか薄いのかわからない、みんながみんなエイリアン状態みたいな。
と、堀込泰行さんは語っています。
【カバー】