「渡良瀬橋」森高千里 1993年1月25日リリース
ビートルズのペニーレインに影響されて作詞!
身近な出来事を自由に歌詞にする事で、独自のワールドを作り上げて来た森高千里さん。実は、彼女の詞に大きな影響を与えた事の一つとして、ビートルズとの出会いがありました。
歌詞を書き始めた頃、カッコ良く書かなければならないと思い込んでいて、出てくるのは当時の歌謡曲にありがちなフレーズばかり。そんな作詞活動で煮詰まった時に出会ったのが、ビートルズでした。
彼女に大きな影響を与えたのは「ペニーレイン」という曲。「ペニー・レインには写真を飾ったバーバーがある。来てくれたお客さんの頭を撮った写真」そんな風に日常の風景を切り取った歌詞に、衝撃を受けました。歌詞って、歌詞っぽくなくていいんだと。
日常の風景を歌いたい…歌詞を書くために地図帳を開きました。そこで見つけた綺麗な響きの川、それが渡良瀬川でした。そして、実際の風景を見に、栃木県の足利市へ。散策する途中で見つけたのが、一軒の理髪店。大好きなビートルズの曲、ペニーレインの「バーバー」とオーバーラップ。そして、この風景を歌詞に書こうと決めました。
取材しにいった日、渡良瀬橋から沈む夕日をみていたら、あまりにも綺麗で、沈むまでそこから動けなくなったそうです。でも、あまりにも風が冷たくて、気がついたら風邪をひきそうになっていました。
そんな自分が体験した日常の風景に、ドラマとストーリーを考えて書いたのが、この渡良瀬橋です。歌詞を書き上げるまでに、何度も、この場所に足を運んだそうです。
今、この渡良瀬橋の川のたもとには、この歌詞の書かれた歌碑が建てられています。そして、撤去の計画のあった公衆電話は、市とファンの皆さんの強い要請で、残される事に。
もう、この歌がリリースされてから何年もたつのに、この歌詞の場所を訪れて、風景にひたる人達は多いそうです。
【カバー】