小沢健二 feauturing スチャダラパー「今夜はブギー・バック」口に出したら楽しそうなフレーズを多用


「今夜はブギー・バック」小沢健二 feauturing スチャダラパー 1994年3月9日リリース

ラップを浸透させる為、口に出したら楽しそうなフレーズを多用

サントリーチューハイ「ほろよい」のテレビCMのアニメバージョンで、tofubeatsの「水星 feat. オノマトペ大臣」と小沢健二 feauturing スチャダラパーの「今夜はブギー・バック(nice vocal)」を組み合わせてアレンジした楽曲が話題となっています。

アニメーションバージョンはイラストレーターHAIさんが手がけ、実写バージョンでは古川琴音さんが6人の登場人物を演じ分けています。

30秒CMのアニメバージョンでは歌唱をkZmときのこ帝国の佐藤千亜妃さんが、実写バージョンでは元Shiggy Jr.の池田智子さんとTENDREが担当しています。


「ほろよい飲んでなにしよう? kZm×佐藤千亜妃 ver.60s」

さて、小沢健二 feauturing スチャダラパーの「今夜はブギー・バック(nice vocal)」この楽曲はどのようにして誕生したのでしょうか?

当時のスチャダラパーは、CDがそんなに売れていたわけではなかったので、レコード会社からいろんな人とコラボをやって話題作りをするように言われていました。スチャダラパーと小沢健二さんは、サブカルチャーの世界では良く知られていた存在でしたが、一般のリスナーまでは、まだ浸透していない時代でした。

そこで、仲の良かった小沢健二さんがフリッパーズ・ギターを解散した頃だったので、一緒にやってみようかという話に。この当時は同じ中目黒のマンションに住んでいて、毎日のように遊んでいた仲だったのです。

爪痕を残す作品を作るにはどうしたらいいか?そこで「記録に残らなくても、記憶に残るような曲」を作ろうという話になります。石川優子とチャゲの「ふたりの愛ランド」とか、郷ひろみ&樹木希林の「林檎殺人事件」のような、ちょっと面白いコラボ。

当時は日本語のラップが根づいてなくて、不良文化としてのラップもごく一部の存在。

そこで、一般にも受ける面白い語感優先のラップを作る事にします。「よくなくなくなくなくなくない?」のような、口に出したら楽しそうなフレーズを多用。現在のラップのようなメッセージ性を含んでいませんが、言ってみたく事を優先しました。

当時、小沢健二さんがメインの「nice vocal」と、スチャダラパーがメインの「smooth rap」の2バージョンが2枚同時でリリースされ話題を呼んだのですが、スチャダラパーバージョンのCDのキャッチコピーは「カラオケで歌えるヒップホップ登場! マジ泣けるッス!」でした。

カラオケでラップを歌うという文化の無い時代で、ラップというジャンルの認知度をあげたEAST END×YURIの「DA.YO.NE」は、1994年8月21日リリースでこの曲より後です。なので「今夜はブギー・バック」が日本語ラップの先駆者となります。

聴いている人たちにとっては初めてのラップだったから、「これが日本語ラップなんだ」みたいに受け止められ方をして、ラップをやっている人の中には「こんなのラップじゃない」と認めない人もいましたが、とにかく当時はここまでハードルを下げて「言ってみる事が楽しい」で突破しないと受け入れられなかった時代なのです。

この2つの曲のヒットで、突如としてラップブームが巻き起こり、「DA.YO.NE」は「SO.YA.NA」などの方言バージョンが多数生み出され、遊びとして広まっていきました。

「今夜はブギー・バック」は、数々のミュージシャンがカバーして、音楽的に浸透していく事となります。この曲で一般層へのラップの扉が開き、そこからそれぞれがラップの形をつきつめていく事となります。

【カバー】

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