「けんかをやめて」河合奈保子 1982年9月1日リリース
竹内まりやさんが発注も受けていないのに本人を想定して作っていた曲!
「けんかをやめて」は、河合奈保子さんにとって10枚目のシングル。
最近のシティーポップブームから竹内まりやさんに注目があつまり、その竹内まりやさん作詞作曲の楽曲として取り上げられる事が多くなった楽曲です。松田聖子さんにおける、松任谷由実提供曲と比較される事もあります。
この曲を竹内まりやさんが作ったのは、山下達郎さんと結婚し、歌手活動休止中だった頃。
TVの歌番組で河合奈保子さんがハツラツと歌う「スマイル・フォー・ミー」を観て、「彼女はしっとりとした歌を歌ってもきっと似合うだろうなあ」と考えてたら、なんとなく「けんかをやめて」のフレーズが浮かんできたのだそうです。
自分で歌う事を考えて曲作りをすると限界があって、他の人、自分とは違う人、そのキャラクターとか声が歌う事を想像して曲作りをすると、可能性が広がる。そんな事から、まだ発注も受けていないのに、勝手に河合奈保子さんの曲を想定して、曲を作り始めたのです。
二人のボーイフレンドを天秤にかけるという歌詞は、まりあさんがよく聴いていた洋楽ポップスの影響。訳詞した洋楽ポップスの中には、「どっちのボーイフレンドがいいのかしら」みたいな歌詞がたくさんあって、そういうアメリカンな青春物の世界観が、まりあさんの頭の中にはありました。
あとで自分で歌ったときに、さすがに「これって何様のつもり?」って気持ちにはなったそうですが、当時の河合奈保子さんが歌ったら、ちょっとワガママな女の子の揺れてる気持ちが自然に聞こえてくるハズ、そう思っていました。
実際に、河合奈保子さんサイドから楽曲提供の依頼が来たのは、この後です。
まだ発注もされていないのに作った曲、そしたらちょうどその後に依頼があったので、「あ、実はこんな曲があります」という流れで、シングルのリリースにつながりました。
そして、第24回日本レコード大賞 金賞し、河合奈保子さんの代表曲に。
1987年に発売された竹内まりやさんのアルバム「REQUEST」で、様々な歌手に提供した楽曲をセルフカバーしたのですが、歌うのにちょっと抵抗があったのはこの「けんかをやめて」だったそうです。メロディは今でも大好きなんですが、少女の心の機微が伝わるのは、当時の河合奈保子さんの歌声だからこそ。改めて聴いてもやっぱり上手だなあと思うそうです。