井上陽水「リバーサイドホテル」川沿いリバーサイドは引っかかりを作る為の狙い

「リバーサイドホテル」井上陽水 1982年7月5日リリース

「川沿いリバーサイド」にツッコミを入れた時点で陽水の術中に!

歌詞が哲学的で、意味が難解と、たびたび話題になる井上陽水さん。これについては、「歌を聴いて悩むことも、また音楽の楽しみ方の一つ」…という、考え方を語っています。

このリバーサイドホテルの歌い出しも、そんな不思議な言葉づかいではじまります。

「誰も知らない夜明けが明けた時」

夜明けの時点で夜が明けているので、「夜明けが明ける」という歌詞は、「頭痛が痛い」のような、同じ意味の言葉を重ねた「重言」と呼ばれる、日本語の間違った使い方です。

しかし、陽水さんは、「『夜明けが明けた時』と書くと、普通の編集者はNGを出す。それは正いけど、だからつるんとした、引っ掛かりのない言葉ばかりになる。意味がありそうで、無さそうな、訳のわからなさも世の中には必要なのでは」と、語っています。

だから、この歌には、あえて意味がだぶる重言が多用されています。「夜明けが明けた時」「部屋のドアは金属のメタルで」「ホテルはリバーサイド、川沿いリバーサイド」

聞いた人が「同じ意味だ」と、ツッコミを入れたくなる事自体が、陽水さんの、術中にハマっているのかもしれません。

最近、いろんな物が「あれはダメ、これもダメ」と、「正しい」というフィルターにかけられて、自主規制されていますが、その一方で、同じような言葉や物語しか出てこなくなっています。

そんな中、陽水さんは、こんな事も語っています。

「いちばんいいのは、聞き手を快適な混乱におとしいれる事。不愉快だと困るけど、「え?これ何?」っていう快適な混乱っていうのが、今いちばん人々に味わって欲しいことですね。」

さて、あなたは、この歌詞を聴きながら、どんな所にひっかかりを感じるのでしょうか?

この歌がリリースされたのは、1982年7月。その時は、残念ながらヒットとなりませんでした。ヒットしたのはそれから6年後の1988年。田村正和さん主演のドラマ『ニューヨーク恋物語』の主題歌に使われてから。ちなみにこの年は、井上陽水さんが出演した日産セフィーロのCMで言った「みなさんお元気ですか」という言葉が、流行語になった年でもあります。

【カバー】

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