「Get Wild」TM NETWORK 1987年4月8日リリース
これで売れなければ解散とまで考えていた、崖っぷちからの逆転のヒット曲
アニメ「シティー・ハンター」のエンディングテーマ曲として誰もが知る曲ですが、実は、崖っぷちに立たされていたTM NETWORKが放った逆転の一打でした。
テレビアニメ『シティーハンター』の都会的なドラマのイメージにぴったりの、オープニングおよびエンディング曲を探していたプロデューサーに紹介されたのが、小比類巻かほるさんとTM NETWORKでした。
小比類巻かほるさんには「Hold On Me」というヒット曲があり、プロデューサーにも認知されていましたが、TM NETWORKには、ヒット曲がありませんでした。
きょうどこの頃、コンサートツアー中に宇都宮さんがダンスを披露していた時に、ステージで捻挫。コンサートが開催できるかどうかという状況に陥りました。ヒット曲もなく、雰囲気は最悪。そんな時に舞い込んだのがこの「シティーハンター」のタイアップの話だったのです。
小室さんはこれにかけ、もし売れなかったら解散しようとまで考えていたそうです。
小室さんは、シンセサイザーを中心とした音に振り切る事にしました。シンセサイザー1台で素材を作り、一気にアレンジを進めました。
当初から『シティーハンター』ありきでのオーダーで、「ピカーンと光がする音」「切替りのタイミングで爆発音を出す」などのオーダーを元にしながらも、開き直って、アニメのストーリーとは関係なく、ひたすら格好良いサウンドにする事を追求する事にしたのです。
GET WILDはコンピューターによる打ち込みではなく、バンド収録ですが、打ち込みに聞こえるのはドラムのスネアの音が入っていないからです。
ドラムの山木秀夫さんがシンセサイザーメインのサウンドに「ドラムのスネアなくて大丈夫な気がするんですが」と提案。今のEDMではスネアが無いののが普通ですが、当時はバンドサウンド全盛期。そこでスネアを抜くというのは画期的、かつ大勝負だったのです。
ちなみにドラムのスネアが入っているデモテープバージョンがこちら!
こうしてリリースされた曲は初のオリコンベストテンにランクイン。エンディングに流れるサウンドの心地よさが、アニメのストーリーの余韻を増幅してくれ、人気となっていきました。
のちに、会社の退勤の時に、会社から出ると同時に「Get Wild」を聴きながら歩く「Get Wild退勤」が流行りますが、こういう一仕事した後の余韻にひたるという、アニメ体験があってこその流行だと思います。
【カバー】