「さくら」ケツメイシ 2005年2月16日リリース
15周年ライブのファン投票で選ばれずライブでも歌われなかった
ケツメイシというグループが世間に知られるようになった曲が「さくら」です。2005年2月にリリースされると、グループ初のオリコン週間シングルチャート1位、年間チャートでも2位という大ヒットとなりました。その後は春の定番ソングとして、春になるとTVやラジオからこの曲が流れるように。
「さくら」がタイトルにつく曲は近年量産されましたが、この曲が他の曲と違うのはテンポが速い事です。さくら関連の楽曲は舞い散る花びらの速度をイメージさせるように、BPMが低い物が多いのですが、この楽曲はBPM120。これはB’zの「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」や、Mr.Childrenの「innocent world」と同じBPMです。
森山直太朗の「さくら(独唱)」がBPM 64、いきものがかりの「SAKURA」がBPM 75 である事から、いかに早いかがわかると思います。
風に散るサクラの花びらとともに夢を持っていた頃の恋人の記憶や懐かしさが、一気に蘇ってくる感じを表現しているのかもしれません。
一般的に「さくら」といえばケツメイシを代表する楽曲として真っ先に思い浮かびますが、より深いファンの間では、あまり人気は高くないようです。
15周年ライブ「15th Anniversary「一五の夜」 ~今夜だけ練乳ぶっかけますか?」は、193曲の中からファン投票で選ばれた曲などを中心に全24曲を披露したのですが、「さくら」は入っていませんでした。
MC担当のRYOさんも、「『さくら』っていう曲が、僕らの中では1番売れた曲なんですけど。それがランキングにかすりもしないっていうところが、まあ清々しいですよね」と、ファンたちによる予想外の投票結果についてもコメント。以降、「さくら」はあまり歌われなくなって行きました。
とはいえ、グループにとっては大切な一曲。
この曲が2005年にリリースされた時、CMタイアップなどは付かなかったのですが、萩原聖人さんと人気モデルの鈴木えみさんが出演したPVが話題になりました。
脚本は「ビーチボーイズ」などを手がけた岡田惠和さんで、八王子の浅川の川原に本物の桜を植えて撮影されました。このPVでは「映画理論講義」という本がキーになり、映画監督を夢見る萩原聖人さんと、本屋で働く鈴木えみさんの出会いと別れの物語。
2021年には、デビュー20周年を記念して、令和版のPVが作られました。主演は人気モデルの久間田琳加さんと俳優の伊藤あさひさん。K-POPアイドルを目指す久間田琳加さんと、箱根駅伝出場を目指す伊藤あさひさんの、それぞれの夢と進む道の違いが描かれています。こちらのロケ地は成田市内の各所が使われ、学校と陸上部は成田高校。その他、成田空港やさくらの山で撮影されています。
K-POPを目指すという内容に、違和感を覚えた人も多いようですが、全作では本と映画が重要なアイテムでしたが、令和版ではスマホとK-POP。ライブでも歌われなくなった「さくら」は、古いスタイルのままオールドファンの記憶に残して置くのではなく、若い人にも見て欲しいというメンバーの意志なのではないでしょうか?