「RIDE ON TIME」山下達郎 1980年5月1日リリース
流行りの言葉や音は絶対に取り入れないがポリシー。だからいつまでも古くならない
中学の頃、同じブラスバンド部だった友人の影響で、在日米軍向けのラジオ放送を聞くようになった、山下達郎さん。そこで洋楽に夢中になり、初めて買ったレコードはベンチャーズ。
そして、ラジオ放送を聞くうちにオールディーズが好きになり、特にアカペラでコーラスを行うDOO WOPに、のめり込んで行きました。
そんな時に友人が教えてくれたのが、ビーチボーイズ。チャック・ベリーのようなギターロックンロールに、DOO WOPを合体させると、ビーチボーイズになると言われ、聞き込む事に。こうして、山下達郎さんの好きな音楽の方向性が、固められて行きました。
大学時代にバンドを結成し、1975年にバンド、シュガーベイブとして「DOWN TOWN」でデビュー。
当時は、四畳半フォークが全盛期で、小さな人間関係の歌が多かったのですが、自分の作っているメロディーは洋楽指向なので、そういう歌詞は似合わないと、季節や自然、風景の事を歌うようになりました。
時代のトレンド、流行りの音は絶対に取り入れない。それがポリシー。歌詞や曲も重要だけど、一番重要なのは編曲で、ここに流行を取り入れてしまうと、時がたつと古くなってします。なので、10年後、20年後に聞いても、古くならないアレンジをする。それを、デビューの時から、常に考えて来たのだそうです。
だから、デビュー曲から今までの曲を並べても、全く違和感がないハズだと、達郎さんは語っています。
一方、流行を取り入れない事は、当時の音楽からかけ離れている訳で、音楽通には受けるものの、なかなかヒットには至りませんでした。常にチャート圏外、100位にも入らない作品も。
そんな山下達郎さんのブレイクのきっかけとなったのが「RIDE ON TIME」でした。音作りにこだわる姿勢が共感を呼び、カセットテープのCMソングに起用されたのです。ご本人が海に膝まで浸かった映像と共に、「RIDE ON TIME」が流れると、こんなナレーションが入りました。
「いい音しか残れない、maxell」
この曲でブレイクし、山下達郎さん初のトップ10入りで、3位を獲得。1980年に、6枚目のシングルとしてリリースされましたが、2003年に、木村拓哉さん主演のドラマ『GOOD LUCK』の主題歌に起用された事で、37作目のシングルとして、CDでリリースされました。
【カバー】