「春咲小紅」矢野顕子 1981年2月1日リリース
「ザ・ベストテン」に出演した時のバックバンドがYMOで音楽関係者に衝撃が!
幼い頃から、ピアノが好きで、プロになろうと思っていた矢野顕子さん。高校の時に、青森の親元を離れて上京し、父親の知人の家に住まわせてもらい、青山のジャズクラブ「ロブロイ」で山下洋輔さん、坂田明さんといったジャズ・プレーヤーと、セッションを繰り広げる日々を送ります。
そんな彼女の噂は、すぐに音楽業界で広まり、細野晴臣さん、鈴木茂さん、松任谷正隆さんなど、蒼々たるメンバーで作っていた音楽ユニット「キャラメル・ママ」のセッションにも、誘われます。
フリージャズをベースとした自由奔放な歌い方と、変幻自在な音楽性で、デビュー直後から多くの人達から注目を集めて行きました。
その腕前を買われて、YMOのワールドツアーに参加。矢野顕子さんは、様々な凄腕ミュージシャン達と共演する事で、さらに、実力を磨いて行きました。
そんな時、矢野顕子さんが、カネボウの化粧品のCMソングを担当する事がわかり、音楽関係者は驚きました。
矢野さんは、自分の音楽性を大切にし、そのスタイルを貫く人だったので、商業的なCMソングは、やらないと思われていたのです。
のちに矢野さんは「自由にやっていい」という条件だったので、引き受けたと明かしていますが、それが、カネボウの春の口紅のキャンペーンソング「春咲小紅」でした。
作詞は糸井重里さんで、歌詞の「見に、見に、見に来てね」は、カネボウの口紅が、ミニサイズだった事にひっかけて作詞したものです。
明るく飛び跳ねるようなリズムが、春にマッチし、売り上げ38万枚を記録。オリコンでも5位にランクイン。これまでランキングの、100位以内に入った事がなかった矢野さんは、音楽好きの間では有名な存在でしたが、残念ながら一般的な知名度は、まだありませんでした。
そんな矢野さんが、TBSの「ザ・ベストテン」に出演。その時にバックバンドを務めたのが、あのYMO。なぜ、こんな大物がバックを務めているんだと、視聴者に驚きを与えました。それは彼女の音楽界での位置づけが、一目でわかる、衝撃の映像だったのです。
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